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お知らせ

2017.04.07
災害援助講習会

災害医療と多職種連携
『大災害発生!その時私達は』

〇 阪神淡路大震災 救援活動の反省点
初期医療体制の遅れ
  災害拠点病院
  急性期現場医療の欠落→DMAT(災害時派遣医療チーム)創設
  重傷者の広域搬送が行われなかった→広域医療搬送計画作成
  医療情報の伝達不足→広域災害救急医療情報システム(EMIS)作成

災害医療の標準化
災害対応における共通の言語、知識、理論、診療手順など
DMAT職種内訳
  医師、看護師、業務調整員(ロジスティック)
我が国の災害医療体制
  被災地域 災害現場 現場医療活動 災害拠点病院 DMAT派遣
  広域搬送  被災地域外 災害拠点病院を基に考えられている。
災害地   需要>資源 (アンバランスになっている)
災害による死亡
  直接死(急性期、現場、外傷、溺水、クラッシュ症候群)
+ 間接死(慢性期、避難所、病院、仮設住宅、持病悪化、廃用症候群)
災害直後
  正確な死者数は分からない。ほぼ直接死のみ
災害後数日
  直接死が顕在化(行方不明→死亡) 間接死の芽生え
災害後数週間
  直接死の増加がほぼ終わる 間接死の増加
災害後、月~年単位
  避難生活が続く限り増えうる。

防ぎえる死 防ぎえる生活機能低下

避難所での生活
  満席の新幹線の3列シートの真ん中に座ってしまった本すら自由に読めない状態。
  国際線エコノミーの3人掛けシートの窓際に座ってトイレに行けない状態
  このような状態が続くこと。
歩行状態の変化 歩行が難しくなった(約54%)   生活不活発病

この様な状態に置かれた避難者のQOLを改善するために私達はどんな活躍ができるか

災害医療コーディネーターに課せられた役割 連携
〇さまざまな救護班の存在(H27年関東東北豪雨茨城県常総市水害)
DMAT→JMAT、日赤等への引き継ぎ
四師会協定に基づく活動
医師会、歯科医師会、看護協会、薬剤師会
↑参加
DPAT(災害派遣精神医療チーム)、JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会 )、
栄養士会、鍼灸師会、sw (災害医療センター調整) 、災害保健医療福祉コーディネートチーム
クラスターアプローチ

〇熊本地震の対応
DVT(深部静脈血栓症)対策
JIMTEF(公益財団法人国際医療技術財団)災害医療研修
参加対象:JIMTEF21団体協議会の構成団体会員
日本鍼灸師会、全日本鍼灸マッサージ師会、も加盟している。
目的:大規模災害発生時の多種多様な状況に適切に対応できる技術知識を有する医療技術者の育成
AMDA(認定特定非営利活動法人災害鍼灸ネットワーク)
代表世話人 帝京平成大学 ヒューマンケア学部 鍼灸学科 教授 今井賢治
専門職である前に 被災地に入ったら総体としての『自分』となれ。

〇災害対応における多職種連携
他の職種を理解し尊重する
共通の言葉を持つ
日頃の研修と日常業務で連携を図る
AMDA(The Association of Medical Doctors of Asia)
1984岡山で菅波茂医師が設立
災害や紛争発生時医療、保健衛生分野を中心に緊急人道支援活動を展開する組織
2006国連経済社会理事会総合協議資格取得
東日本大震災、熊本大震災の際、医師、看護師、調整員等を派遣するとともに、鍼灸師、助産師、臨床心理士、理学療法士、介護福祉士などによる医療チームを編成し支援活動を行なった。
AMDAの3原則(活動理念)
1、相互扶助(困った時はお互い様)
2、差別のない多様性の共存(民族、宗教、文化などの壁はない)
3、現地主導主義(援助を受ける側にもプライドはある)
救える命があればどこまででも
災害地域の被災された鍼灸師は、自身が被災しているにも関わらず無償のボランティアで継続的な支援活動を行うのは困難。
近隣県の鍼灸団体や組織間でお互い様のフォロー体制を構築しその統括を上部組織が行うなどの体制整備が重要。
伝統的な鍼灸治療の手技は多様であるがそれぞれの利点を生かし合う多様性の共存が求められる。
現地のニーズを把握して必要な支援を行う。支援を受ける側にもプライドがあり、一方的な押し付け支援は迷惑となることがある。
被災された鍼灸師が必要な支援ニーズを遠慮なく挙げて、それを相互扶助のもとで周囲が支援するという体制づくりが必要。
被災した鍼灸師の復興があってこそ、安定した鍼灸治療を提供できる
災害時に発行される免除証明や医師による同意書の簡素化など、東日本大震災時の保健システムの経験を最大限に活用することが被災地の鍼灸復興につながる事を想定して備える必要がある。
AMDAの行動基準(ネガティブリスト)これだけはしてはいけないリスト3項目
1、被災者に迷惑をかけてはいけない
『何かをしなければなら』『何かをしてあげよう』→『何々をすべき』
など押し付けになってはいけない
2、医療事故を起こさない
鍼灸治療には気胸や熱傷などを起こすリスクがある。
災害後は衛生環境が十分ではなく、感染リスクは高くなる。
被災されているかたの既往歴が分からないまま苦痛の除去を行なってしまう。
施術者の誤刺の発生は絶対にあってはならない。ディスポーザブル鍼で単回使用を徹底する。
3、他の派遣者の創意工夫を非難しない
短い期間でローテーションする派遣者がそれぞれの創意工夫を持ち寄り昇華させれば強力なチームワークができる。
災害時の医療支援の特徴
時間の経過に伴いキュアからケアに変化する。
鍼灸治療はどのような場所でも活動が可能。
災害時の医療活動の一翼に鍼灸治療は大いに応用され得るものである。
東日本大震災における鍼灸治療
 被災地における鍼灸治療の対象症状は各種の慢性疼痛など、肉体的、精神的ストレスに由来するものがほとんど。
震災直後の移動、水汲み、炊き出し、環境の変化からくる疲労、それに伴う腰痛、肩凝り頭痛、などの慢性疼痛が多く見られる。
避難所生活のストレスからくる不眠、不安感
 地元の医師、と鍼灸師、行政が連携し、鍼灸治療の療養費を最大限に活用してゆく方針を東日本大震災後の大槌町および石巻市で実現した。
〇京都府福知山市広域浸水被害における鍼灸活動
H26年8月17日福山市中心大規模浸水と土砂災害
浸水被害を受けた家屋の泥の掃き出しや荷物の運搬などの作業の疲労か
らくる身体の不調(腰痛、肩凝り、全身筋痛など)
被災後6日の時点で周囲の病院、鍼灸院の多くが開院している事を確認の上ボランティア活動を終了した。

〇広島土砂災害
地元師会(日本鍼灸師会と全日本鍼灸マッサージ師会)施術ボランティ
アが計画されていたため地元ニーズを確認しながら後方支援として活動
した。
〇熊本大震災(益城町)
平成28年4月25日~5月25日 全国から29名が参加
救護室内で医療スタッフと連携して施術できたため統合医療の実践の場となった。
灸治療は救護所内では行わなかった。
テント村、特別養護老人ホーム、広安小学校体育館倉庫を利用した。
対象症状は腰痛、頚肩部痛、膝痛などの慢性疼痛。その他頭痛、疲労
感、不眠、便通異常、排尿障害など。9割以上が鍼治療は初めての方。
益城町の鍼灸院は全て閉院していた。被災鍼灸師の方々からは活動を見
守っているとの言葉を頂きながら10月末避難所の閉鎖まで活動した。

静岡県師会もAMDA災害鍼灸ネットワークに参加する必要性を感じる。


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