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2018.04.03
陸上競技のコンディショニング

陸上競技にいてのコンディショニングは競技種目によって必要なコンディショニングの要素が違ってくる。

身体的なものとして動員される筋や関節も異なり、精神的なものはその持続時間や勝負の駆け引きのあるものにより差がある。

エネルギーの消費量や消費のタイプが違うため栄養学的なものも含めて、個々に対応すべきである。

短距離走種目のスプリント動作では、股関節の働きが重要でケガもハムストリングスの障害発生が多くなる。

これはパフォーマンスに大きな影響を与えるところなので、ハムストリングスの柔軟性、筋力はコンディショニングに重要なポイントとなる。

ハードル種目ではハムストリングスの柔軟性は膝の屈曲と股関節の伸展の双方からアプローチするべきである。

基本的な静的なものと、パートナーストレッチを用いて、二関節筋である特性を考慮して行う必要がある。

静的なストレッチは膝関節軽度屈曲位と完全伸展位の両方を行う。

パートナーストレッチでは膝の屈伸を軽く他動的に右の手で関節を圧迫を加えながら行い、股関節の屈伸もハムストリングスの筋腹に軽く圧迫を加えながらストレッチを行うと効果的に柔軟性を確保できる。

拮抗筋の柔軟性も同時に必要なので、腸腰筋や大腿直筋も同様に、パートナーストレッチでは側臥位または伏臥位にて股関節伸展角度と膝関節伸展角度を徐々に広げながら行う。

コーナー走では共同筋となる内転筋・外転筋も大きな力を発揮するので同じように他動的に行うと効果的である。内転筋の柔軟性は鵞足炎の予防にまた外転筋の柔軟性は腸脛靭帯炎の予防に効果的である。

長距離の競技者ではオーバーユースによる下肢の怪我が多く、アキレス腱炎、鵞足炎、腸脛靭帯炎、膝蓋腱炎、シンスプリント、疲労骨折などの予防のためにも、下腿三頭筋、大腿後面内側筋群、大腿四頭筋の柔軟性の確保が必要である。

貧血の状態になることはパフォーマンスに直結するので定期的な検査も必要と思われる。

特に女性では月経異常をきたし、ホルモンバランスの変化により骨塩量の低下は疲労骨折につながるので注意が必要である。

跳躍種目では踏み切り位置に足を合わせるという特殊な技術が要求される。また踏み切り時に足関節にかかる負担が大きいため足関節周囲筋群、出力の要求される足底屈筋群、つま先の方向や関節の安定性を補助的に司る腓骨筋群、後脛骨筋などの働きも要求されるため、その筋力や柔軟性が必要となる。これらは神経系との連動が必要なので不安定要素を加えたエクササイズを行う必要がある。

投てき種目では下肢の踏ん張りが必要なので、下肢の働きに加えて投てき物を投げる上肢の働きが必要となる。唯一スパイクを履いて助走スピードを利用してスローイングするやり投げでは、投げ動作において肘関節に大きなストレスがかかる。投げ腕の逆脚は助走のスピードをブロックするため、投げの最終局面での支持脚には大きな負荷がかかるため、膝蓋靭帯炎や十字靭帯へのストレス、足関節の捻挫の予防の観点でのコンディショニングが必要である。

練習前・競技前(ウォーミングアップ)

陸上競技のコンディショニングとして、練習前には主にセルフストレッチとともに股関節周囲筋群の他動的ストレッチを行う事が多い。ハムストリングスにケガの既往がある競技者やリコンディショニングの場面ではスプリント動作の脚の交差(はさみ)のような徒手抵抗を利用したトレーニングを行ってウォームアップしていく事が多い。

練習後・競技後(クーリングダウン)

競技種目や練習内容で変わるが、コンディショニングとしては股関節周囲のパッシブストレッチを行う事が多い。気温が高い暑熱環境下や1日に複数のレース(ラウンド)がある場合は、筋のクーリングダウンを目的としたアイスマッサージや、アイスバスで筋温を急激に下げ、体温下降にかかるエネルギーの喪失や熱感の除去に使用することが多い。


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