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2018.04.12
東洋医学(鍼灸医学)2

全体治療
全体治療の概念
全ての疾病の治療は特殊な場合を除いて全体的であるべきとし、「五臓六腑にもとずく太極治療」を提唱していますが、太極治療の意味するものは全体治療です。そして五臓六腑と言っても現代医学的な意味における内臓とは異なり、東洋医学の古典の指示する五臓六腑は、五臓には肝・心・脾・肺・腎を含み、六腑には胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦がふくまれています。肝と胆、心と小腸、脾と胃、肺と大腸、腎と膀胱、三焦に心包が機能的に表裏をなして、肝には魂が、心には神を、脾には意と智を、肺には魄を、腎には精と志を蔵すると言われています。身体の作用を機能的な全体的な立場からみたもので、精神と肉体が混然として一体となっている統一体としてみていました。

いかなる病気も五臓六腑の不調和にもとずき起こり、この不調和を整えることでおのずと治るという考え方です。

身体のいかなる部分も全体と切り離して存在する事は出来ず、存在する以上必ず全体と関係を持っています。

一局所の病の発生した場所のみを対象とした治療ではなく、全体の不調和を整えて生理的平衡に戻すことにより一局所の病を改善しようという考え方が全体治療の目指すところです。

全体性と相関性
身体の相関関係には二種類あります。その一つは神経的挿管であり、もう一つは科学的挿管です。直立歩行、眼球の運動、咀嚼、嚥下、胃腸の運動、呼吸運動、血管の拡大縮小、体位の保持、排便・排尿などは全身諸臓器を統一するところの神経的挿管作用の現れであり、身体の成長・発育、形態の保持、新陳代謝、消化・吸収など、いずれも諸種の科学物質が体内で作られて、これが血液を介してその働きを互いに促進したり抑制したりするところの化学的相関作用の現われではないでしょうか。このように個体の部分の集合に対して、これらを互いに関連させることにより個体の全体性を維持しているのですが、この最後の統制を行うものは神経系統です。

恒常性とホメオスタシス
ある生命体としての人体にはある統制に至る定まった基準があります。たとえば体温は36度~37度を標準として恒常であり、血液中の塩化ナトリウムは0.8%であり、1ミリの血中の赤血球数は450~500万、白血球数は5千~1万、血小板は13万というように標準となる数が決まっていて恒常であり、その他の臓器もそれぞれ恒常性があります。この恒常性の破綻がすなわち病気であり、病気が癒えるのはこの恒常性がもどるということです。

人体にはこの恒常性が崩れた時に正しい状態に引き戻す力が備わっています。この恒常性を保っている状態をホメオスタシス(恒常性維持機能)といいます。

鍼灸治療はこのこの自然治癒能力に依存することの極めて大きい療法です。個体の恒常性が何らかの条件によって破綻をきたしたとき、個体が表す反応を見出してこれに適応する鍼または級の刺激を与えそれによって恒常な状態に個体を復帰させようとするのが鍼灸治療です。

鍼灸術の本質
鍼灸治療は自然治癒力を活用して行う治療です。なので人体にとって最上の医術だと思います。

身体の違和すなわちアンバランスがあるとき、内臓ー体壁反射の原理で体壁部の皮膚、皮下組織、筋、筋膜、神経、血管、リンパ管、腱、骨膜などに反応が現われ、それは知覚過敏(痛み)、筋硬直(こり)、代謝異常(やつれ)、血管収縮(冷え)などの異常感覚として把握されます。いわゆる圧痛、硬結、鈍麻、弛緩、冷感などです。

これは古典的に言えば五臓六腑に不調和が起こり、大過と不及を生じたことになります。つまり生理的平衡状態にアンバランスが生じたのです。

この大過を̪瀉し、不及を補って生体の機能をバランスのとれた平衡状態に復帰しようとするのが鍼灸療法です。

あるのはただ全体の病気だけで、個々の細胞とか機関の病気とかいうものは、全体の病気のひとつの生きた現われに過ぎないと考えるのが鍼灸治療です。

刺鍼も施灸も全体の調整のための刺激として用いられることにより初めて、治療的価値を生じてきます。

生体反応には陰性相と陽性相があります。陰性相は傷害現象の発現であってそれは交感性すなわちS位相を促進します。陽性相は回復現象の発現でありそれは副交感性ですなわちP位相を促進します。

生体に刺激を与えるとまず陰性相が現われ、これに次いで陽性相が現れます。この陰性相の発現が少なくて、陽性相の発現が多くなった場合、刺激療法の治療効果が表れます。このことに注意することが刺激療法における最も大切な要件です。なぜならば、刺激は治療刺激にも疾病刺激にもなり得る性質のものだからです。現状を変える全てのものは直す力もありますが傷つけ、殺す力もあります。


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