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2019.01.23
救急処置の基礎知識 2

スポーツ現場における救急処置

1 スポーツ現場における救急処置を学ぶ意義

スポーツ現場で発生する様々な傷害に対処できるように、救急処置に関する知識と技術を身につけておく必要がある。

救急法とスポーツ現場における救急処置

         救急法         スポーツ現場における救急処置

行為者     一般市民         指導者、AT、教師、アスリート自身

発生場所   どこで起こるかわからない     スポーツ現場

外傷・障害の種類 想定不可能          想定可能

緊急対応計画   なし             必要

かかわりの範囲  医療者へ引き継ぎまで     競技復帰まで

資機材      通常なし           事前準備

2 緊急対応計画と評価手順

1)スポーツ現場における救急処置の定義と業務内容

定義 : スポーツ現場における傷病者に対する救急処置およびサポート

業務内容 

a、スポーツ現場における救急体制を確立し緊急時の対応計画を作成し、実施する。

b、受傷時の外傷、障害の評価及び適切な救急処置を実施する。

c、救急時の救命処置を実施する

2)救急対応計画

a、緊急の定義を決めておく

b、最初の対応者を決めておく(AT or 指導者)(地位、資格や具体的な人物名)

c、対応車の役割を決めておく

d、対応に必要な応急処置資器材の確保と保管場所

e、医療機関の電話番号

f、医療機関への連絡者と連絡方法など

関係者全員に周知徹底させ、定期的に訓練を行う。(年度替わりなど人の移動時期は注意が必要)

3)評価手順(フローチャート)

どの様に状況を把握して、どのように行動するか。

緊急対応計画が総論なら、評価手順は各論であり、競技やチームのサポート体制によって異なる。

競技のルール、競技場所(ホームなのか遠征先なのか)、連携できる医療スタッフはいるのか、フローチャート作成においては色々な状況を検討して作成する。

3 スポーツ現場での外傷、障害の評価とその手順

1)外傷、障害の発生直後の正確な評価とそれに伴う適切な判断と救急処置が必須となる。

2)スポーツ現場における外傷、障害の評価の目的は協議を続行させられる状態であるか否かを判断することである。

生命の危機を除外できた(第1次評価)後、外傷・障害の情報収集を行い判断する(第2次評価)を系統だてて行う必要がある。(on field evaluation)(グランド上評価)という。

A 第1次評価(緊急性の判断)

a)心肺停止

b)気道閉塞

c)意識の消失

d)頭部外傷、頚部損傷

e)てんかん・全身けいれん

f)吐血

g)大出血

h)士かな変形

i)ショック状態

j)その他

ATは常に競技中の競技者の状況を注意深く観察しなければいけない。

異常発生を確認した時点から第1次評価が始まる。

最初に行わなければいけない事は状況の把握。

異常が発生している競技者に接近する事は安全か?ルール上許されるか?を判断

ATにとっても他の競技者にとっても安全性は保たれているか?

競技者に触れる事がその選手にとって失格とならないか、

何が起きたのか(起きているのか)評価する。

本人から直接聴取するが、できない場合回りの競技者から事情を聴かなければいけないこともある。

緊急性が疑われる時は緊急対応計画に従い医療機関に搬送するために救急隊を要請する。

救急隊への状況説明や搬送の補助などを行う。

第1次評価 生命を脅かす緊急事態の有無の確認

   緊急事態あり⇒緊急対応計画に基ずく対応(救急病院へ搬送)

   緊急事態なし⇒第2次評価へ

第2次評価 外傷・障害上方の収集

   競技の続行を許可⇒応急処置+競技中、終了後の経過観察

   競技の続行を禁止⇒1、応急処置+チーム内で経過観察

            2、応急処置+かかりつけ医受診

            3、応急処置+専門医受診

B 第2次評価(外傷・障害の情報収集)

アメリカのグランド上評価はHOPSS評価法が一般的

 a)Histry(聴取): 受傷機転や主訴を中心に聴取する。(既往歴、受傷時

           に受けた力の方向、音の有無など)

 b)Observation(観察): 明らかな変形、腫脹、変色、創の有無など(健側と

           比較する)

 c)Palpation(触察): 腫脹、熱感などを確認する。広範囲に触れて健側と比

           較する

 d)Stress test(負荷検査): 靭帯構造に大きな破綻が確認できない場合(受傷部位に負荷をかけても問題ないと判断される場合)、受傷部位の可動域と筋力、動きに伴う痛みの有無を評価する。健側から初めて結果を比較する。

グランド上評価の目的は競技続行の可否を判断するために行う。

 e)Special test(特殊検査): 外傷・障害を特定するための検査で、関節の動揺性や痛みの誘発検査がある。損傷程度を悪化させたり不必要な痛みを競技者に与えることがあってはならない。

HOPSSテストで問題がないと考えられる場合、運動機能テストを行う。

下肢の屈伸→その場駆け足→ランニング→ジャンプ→軽い対人の当たりなど

この判断には競技への深い理解が必要となる。

グランド上の評価は小さなノートにメモを取っておくかボイスレコーダーに残し後で記録を残しておく。


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