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2018.05.11
東洋医学(鍼灸医学)3

精神ー身体医学

身心一如としての人間を治療するには精神と身体との関係についての理解が必要となってきます。

精神ー身体医学のことをサイコソマティック・メディスンと言います。サイコは精神、ソマは身体または肉体、メディスンは医学の意味です。

精神を離れて身体はなく、身体を離れて精神はない。それ故に精神の健康と身体の健康とは相関的です。したがって病気の診療をするにあたっても、ただ身体の病のみにとらわれず、常に精神的な面に充分な考慮を払い心身両面にわたっての診療を行う必要があります。これが精神ー身体医学の考えの基礎となります。

近代科学が隆盛となり人体の生理、病理を自然科学的に分析的に追及して、医学はあくまでも科学的でなければいけないとの考え方が世界の医学界を支配するようになってから、ややもするとこの根本精神が忘れがちになり身体的な面のみに力がそそがれて精神的な面は忘れられてしまう傾向にあるように思われます。

第二次世界大戦後多くの医師が全体医学の必要性を訴えてさまざまな研究が行われました。

カッシング:心因性胃潰瘍説

レイリー:交感神経異常説

セリエ:ストレス学説

ラボリ:人工冬眠法

ブイコフ:大脳皮質内臓条件反射説

などなど、これらを総括すると、「精神の変化によって身体的な機能障害が起こり、それが長引くと血管の病変が起こり、ひいては臓器の実質にも病気が起こってくる。」となります。

精神的諸因により起こりまたは影響を受ける身体病を大まかに分類すると次のようになります。

循環器系:心悸亢進、頻脈、不整脈、狭心症、高血圧症など。

呼吸器系:呼吸困難、喘息、胸部不快感など。

骨格運動奇経:関節リウマチ、振顫、拘攣など。

消化器系:嘔吐、吐き気、食欲不振、悪阻、胃腸潰瘍、胃痙攣、下痢、便秘

中枢神経系:頭重、頭痛、眩暈、失神

内分泌系:甲状腺機能亢進症、糖尿病

泌尿生殖器系:陰萎、不感症、月経障害、夜尿、頻尿

皮膚系:皮膚炎、湿疹、蕁麻疹

以上のように精神の変化によって起こり、、また影響を受けて症状が重くなる疾患は極めて多く存在しています。

東洋医学においては古典の「素問」「霊枢」の中で「五臓には七神を蔵す」とされていて、肺には魄を、心には神を、肝には魂を、脾には意と智を、腎には精と志を蔵すといわれています。すなわち精・神・魂・魄・意・智・志の七神つまり精神的な働きは五臓の内に蔵されているとみなされてきました。

たとえば精気の弱り、すなわち根気力の不足は腎の虚衰の症状であり、神気の乱れは心機能不安定の症状となって現れてくるように、五臓の調和を図るように治療すれば精神の調和も得られるとしています。このような考え方は身体ー精神医学的と言えます。

ノイローゼ等の神経病のみでなく、精神神経症状を有する場合でも、五臓の兪穴・墓穴を中心として身体症状の調整をはかると精神状態も落ち着いてくるといわれています。

ところがもう一つの立場があります。五臓の調和を維持するには、五志や七情の調節をはかることが必要とされている精神ー身体的な立場があります。

五志とは怒・笑・思・憂・恐などの感情であり、この感情が爆発することを五労と言い、「怒りは肝を傷り、笑は心を傷り、思いは脾を傷り、憂いは肺を傷り恐れは腎を傷る」とされています。

七情とは喜・怒・憂・思・悲・驚・恐などの感情を言い、この感情の行きすぎを七傷と言います。『喜べば気緩み、怒れば気上り、憂うれば気閉塞し、思えば気結ぼれ、悲しめば気消え、恐れるときは気乱る』といいます。

これら五労・七傷は過度の感情の刺激によって起こる身体的な障害を指すのであって、病気に対する内的原因と言われていて、東洋医学では内傷と言っています。これはあたかもセリエのストレス学説における精神的ストレスに相当すると思われます。

ついでながら東洋医学においては内傷に対して外傷との概念も存在し「風、寒、暑、湿、躁、火」などの外部環境的なストレスも内傷と相俟って疾病の原因となっていると考えられています。

病める脳を治すには、末梢からくる悪い反射効果を消さなくてはならない。病める臓器の治療を行うことにより脳の負担が軽減し、患者を安心させることにより全身の機能が好転し疾病の効果も良くなるといわれています。

東洋医学的な大まかな言い方で言えば五臓の調和を図ると精神及び身体の健康が回復するということになります。


2018.04.12
東洋医学(鍼灸医学)2

全体治療
全体治療の概念
全ての疾病の治療は特殊な場合を除いて全体的であるべきとし、「五臓六腑にもとずく太極治療」を提唱していますが、太極治療の意味するものは全体治療です。そして五臓六腑と言っても現代医学的な意味における内臓とは異なり、東洋医学の古典の指示する五臓六腑は、五臓には肝・心・脾・肺・腎を含み、六腑には胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦がふくまれています。肝と胆、心と小腸、脾と胃、肺と大腸、腎と膀胱、三焦に心包が機能的に表裏をなして、肝には魂が、心には神を、脾には意と智を、肺には魄を、腎には精と志を蔵すると言われています。身体の作用を機能的な全体的な立場からみたもので、精神と肉体が混然として一体となっている統一体としてみていました。

いかなる病気も五臓六腑の不調和にもとずき起こり、この不調和を整えることでおのずと治るという考え方です。

身体のいかなる部分も全体と切り離して存在する事は出来ず、存在する以上必ず全体と関係を持っています。

一局所の病の発生した場所のみを対象とした治療ではなく、全体の不調和を整えて生理的平衡に戻すことにより一局所の病を改善しようという考え方が全体治療の目指すところです。

全体性と相関性
身体の相関関係には二種類あります。その一つは神経的挿管であり、もう一つは科学的挿管です。直立歩行、眼球の運動、咀嚼、嚥下、胃腸の運動、呼吸運動、血管の拡大縮小、体位の保持、排便・排尿などは全身諸臓器を統一するところの神経的挿管作用の現れであり、身体の成長・発育、形態の保持、新陳代謝、消化・吸収など、いずれも諸種の科学物質が体内で作られて、これが血液を介してその働きを互いに促進したり抑制したりするところの化学的相関作用の現われではないでしょうか。このように個体の部分の集合に対して、これらを互いに関連させることにより個体の全体性を維持しているのですが、この最後の統制を行うものは神経系統です。

恒常性とホメオスタシス
ある生命体としての人体にはある統制に至る定まった基準があります。たとえば体温は36度~37度を標準として恒常であり、血液中の塩化ナトリウムは0.8%であり、1ミリの血中の赤血球数は450~500万、白血球数は5千~1万、血小板は13万というように標準となる数が決まっていて恒常であり、その他の臓器もそれぞれ恒常性があります。この恒常性の破綻がすなわち病気であり、病気が癒えるのはこの恒常性がもどるということです。

人体にはこの恒常性が崩れた時に正しい状態に引き戻す力が備わっています。この恒常性を保っている状態をホメオスタシス(恒常性維持機能)といいます。

鍼灸治療はこのこの自然治癒能力に依存することの極めて大きい療法です。個体の恒常性が何らかの条件によって破綻をきたしたとき、個体が表す反応を見出してこれに適応する鍼または級の刺激を与えそれによって恒常な状態に個体を復帰させようとするのが鍼灸治療です。

鍼灸術の本質
鍼灸治療は自然治癒力を活用して行う治療です。なので人体にとって最上の医術だと思います。

身体の違和すなわちアンバランスがあるとき、内臓ー体壁反射の原理で体壁部の皮膚、皮下組織、筋、筋膜、神経、血管、リンパ管、腱、骨膜などに反応が現われ、それは知覚過敏(痛み)、筋硬直(こり)、代謝異常(やつれ)、血管収縮(冷え)などの異常感覚として把握されます。いわゆる圧痛、硬結、鈍麻、弛緩、冷感などです。

これは古典的に言えば五臓六腑に不調和が起こり、大過と不及を生じたことになります。つまり生理的平衡状態にアンバランスが生じたのです。

この大過を̪瀉し、不及を補って生体の機能をバランスのとれた平衡状態に復帰しようとするのが鍼灸療法です。

あるのはただ全体の病気だけで、個々の細胞とか機関の病気とかいうものは、全体の病気のひとつの生きた現われに過ぎないと考えるのが鍼灸治療です。

刺鍼も施灸も全体の調整のための刺激として用いられることにより初めて、治療的価値を生じてきます。

生体反応には陰性相と陽性相があります。陰性相は傷害現象の発現であってそれは交感性すなわちS位相を促進します。陽性相は回復現象の発現でありそれは副交感性ですなわちP位相を促進します。

生体に刺激を与えるとまず陰性相が現われ、これに次いで陽性相が現れます。この陰性相の発現が少なくて、陽性相の発現が多くなった場合、刺激療法の治療効果が表れます。このことに注意することが刺激療法における最も大切な要件です。なぜならば、刺激は治療刺激にも疾病刺激にもなり得る性質のものだからです。現状を変える全てのものは直す力もありますが傷つけ、殺す力もあります。


2018.04.10
東洋医学(鍼灸医学)

鍼灸医学の真価
東洋医学とりわけ鍼灸医学は、経験医学として発達して、三千年の長きに渡って多数の経験の集積から出来上がったものだけにその臨床価値は極めて高く評価されるべきものです。生成発展の史的過程において、当時の自然科学による説明が混入しているために、現代人からは容易に納得しがたいような要素も少なくありません。これは経験的事実をどうにか説明しようと試みた結果ではなかろうかと思いますが、化学以前の不純な要素を振り払ってそこにそんざいする経験的事実を拾い上げるならば、直ちに臨床に役立つ要素が多分にあるのです。

鍼灸医学は明治初期以来、西洋医学の輸入とともに古い医学として、何らの科学的検討も加えられずに取るに足らずと軽蔑され、医学の領域から全く排除されて民間療法としてのみ細々と約一世紀の間存続してきました。

明治初期から大正・昭和にかけて鍼灸の科学的研究が一部の医学者の関心事となる一方鍼灸家による臨床研究も盛んになりました。両社が相まって鍼灸医学の真価を一般知識人の間に高く評価される傾向が生み出されてきました。

しかし日本の医学界においては評価されないまま時代が経過していきました。

日本の医学界が軽視している間にフランス、ドイツ、中国、ソ連、アメリカでは鍼灸医学の科学的検証が積極的に行われて多くの論文が発表されてきた。だがまだまだ解明されていない事象が多く科学の進歩が期待されます。

鍼灸治療と現代医療を比較するのではなく、おのおのの長所を認め補填することにより、より良い治療が行われる事を願います。

慢性病と鍼灸医学
西洋医学は急性病や伝染病において優れた実績をあげています。鍼灸医学は慢性化した症状に対応する能力があります。西洋医学の急速な進歩によって死亡率が減少し平均寿命が急速に延長されました。これは真に喜ばしい事ですが、慢性病患者が減ったかというとそうではないようです。慢性病は長期間の経過をたどり、慢性病の増加と老齢人口の増加は個人的にも、集団的にも大きな負担となってきました。慢性疾患とそれに伴う不能力化の程度は、40歳以後に著名に増加し老年に近ずくほど比率は高くなる。

慢性病の多くは退行性疾患でありしたがって進行的であり徐々に機能低下を来して人を不能化します。慢性病の定義は「長期間にわたる健康障害」を意味する。たとえ患者がそれに気づいていなくてもまた、その不能力化が著明でなくても、健康障害が着々と進行していく場合にはこれを慢性病という事ができる。こうした意味の慢性病には、近代医学があまり深い関心を持たなかったものです。

これを鍼灸医学に限定していうならば、その診断は治療に即した病証の診断であって、脈診・経絡診・経穴診・腹診・背診をはじめ望診による全体的な診断、陰陽虚実による病状病勢の診断、その治療的診断において実に卓越したものを持っています。従来東洋医学の古典においては「未病を治する」を上工(名医)とし、「既病を治する」を下工(凡医)とみなしていました。したがって疾病の治療よりも健康障害の整復、すなわち養生に重きを置いてきました。病気の治療は病気を対象として治療するのではなく、身体のくるいを整えるのです。身体のくるいを整えていれば病はひとりで治っていくと言われています。

人は慢性病の脅威を身近に感じる時代になってきて、東洋医学の特色が発揮されることの必要な時代が来たようです。

東洋医学とりわけ鍼灸医学は、慢性病の診断と治療に優れています。神経痛、関節リュウマチ、慢性関節炎、慢性胃腸疾患、喘息、神経症、神経衰弱、更年期障害、肩こり、腰痛、慢性疲労、動脈硬化症、高血圧症、脳出血後遺症、糖尿病などの慢性疾患には鍼灸治療の適応するものが極めて多く、早期に発見し治療して正常な健康状態に復帰させることができる場合が少なくありません。


2018.04.05
バレーボールのコンディショニング

競技特性

コート内で身長より高いネットを挟んで、相手のコートにボールを叩き落す競技である。ジャンプをすることで、スパイクやブロックなどの空中での攻防繰り広げられる。よって高いジャンプ力、空中での姿勢保持、強いスパイクを打つ筋力、が要求される。一方、ディフェンスにおいてはボールを落とさず自チームの攻撃につなげるために、スパイクやサーブレシーブをしなければならない。そのために向かってくるボールに対する素早い反応、低い姿勢でプレーできる安定した下半身と体幹、ボールに追いつくためのの瞬発力、敏捷性が必要となる。一日に複数試合をこなすための持久力も必要となる要素である。

必要とさてる基礎体力

1)ジャンプ力  ジャンプ力(パワー)=力(筋力)×速度(筋・腱収縮速度)で示されるように、筋トレで筋力をアップさせるとともにボックスジャンプや、バウンディングなどのプライオメトリクストッレーニングを行い、筋腱の収縮速度を速めることで向上させる。しかし飛び方が助走無しで両脚で踏み切り、助走をつけて両脚踏切や片脚踏切、横方向へのサイドステップやクロスステップからの踏切など、実際のプレーに即した飛び方をイメージして行う必要がある。接地時間を短くしたり、反動の切り返しを素早くしたり、トレーニング効果の観点から筋トレとジャンプトレーニングは並行して行うべきである。攻撃のスピードをアップする必要もあり最高到達点までの到達時間も短くできるようにする。

2)俊敏性  ボールの落下地点まで早く移動するための俊敏性が必要である。6~9m程度の短い距離でスタートの数歩のスピードを早める意識でダッシュを行うと良い。反復横跳びのようなステップを前後斜め方向に行うトレーニングも有効である。

3)持久力  バレーボールは1セットおよそ20分前後、セット間の休憩をはさみ最長5セット行われる。パフォーマンスを正確に行うためにも下肢や上肢の筋持久力が必要となり、インターバルトレーニングやサーキットトレーニングを行う必要がある。1セット20分間のプレー時間を目途に20~25分間のトレーニング設定で行う。

4)柔軟性  肩甲帯と股関節の柔軟性が必要とされる。スパイクやブロックの際の上肢の動きは肩甲上腕関節以外に肩甲胸郭関節の可動域によるところが大きい。この関節の可動域があることによって、肩甲上腕関節周囲の組織の負担を軽減でき、肩の傷害の予防につながる。スパイクの踏切の際には助走によって得たスピードを垂直方向に変換したり、空中でスウィングする際に体幹の回旋を使ってパワーを生み出したりする。そのためには股関節内外旋の柔軟性が必要となる。レシーブの際の腰を落とした姿勢は大腿部から臀部の筋力と柔軟性が必要である。屈曲、外転、外旋方向の柔軟性が必要となる。深い位置で行うスクワットや相撲の四股踏み、すり足などのトレーニングも有効である。

プレーに必要な身体機能

1)姿勢の維持:力強い早い腕のスウィングは姿勢がしっかりと維持できていないとできない。障害予防の観点から、体幹の屈伸を使ったフォームより正中線を軸に体幹の回旋を使ったフォームの方が良いと言われている。ブロック、トス、レシーブの着地の際も空中や地上で姿勢を維持する必要がある。まず、体幹の前後、側面の筋を通常の腹筋背筋で強化し、そのうえで正中線を維持し体幹の筋群の協調性を付けるためのスタビライゼーションのトレーニングやメディスンボールを用いたトレーニングを行うと良い。バランスボールやバランスディスクを効果的に使用して不安定な状態でトレーニング行うと効果的である。

2)ボールを打つ際の腕のスウィング:スパイクやサーブ共に最終的にボールに力を伝えるのは上肢であり、威力あるボールを打つには上肢の筋力と腕のスウィングのスピードが必要である。胸→肩→上腕→前腕→手の運動連鎖が行われ、ストレッチ・ショートニング・サイクルを使ったしなやかな腕のスウィングが伴う事で、効率よくボールに力が伝わる。メディスンボール」を用いたスローイングやスウィングスピードを身につけるための徒手やタオルを利用した素振りなどは効果的である。

3)下肢から上肢への運動連鎖:ボールを強く、遠くに飛ばすパフォーマンスを発揮するには全身のバネを使う必要がある足、膝、股関節の屈曲から伸展によるパワーを体幹を通じて上肢からボールに発揮されるようにメディスンボール使ったトレーニングを行うと良い

4)ボールに対する反応:構えの姿勢から手やランプ、ボールなどのシグナルや合図に対してできるだけ早く反応し、一歩目を踏み出したりジャンプをしたりするトレーニングを行うと良い。


2018.04.05
バスケットボールのコンディショニング

競技特性

競技者はそれぞれの体格や運動能力、得意な技術を活かせるポジションを与えられ、同じポジションに2~3名の競技者が割り当てられ、試合中は試合の流れや個人のコンディションなど種種の理由により頻繁に競技者交代が行われる。競技者が入れ替わっても全体の戦力がダウンしないように常にアップは欠かせない。年間を通じて個人技や連携プレーの質の向上を目指した反復練習が行われる。

競技中は急激なストップ アンド ダッシュ、方向転換、ジャンプを行いながらパスやシュート、ドリブルを行うため、足関節捻挫、前十字靭帯損傷、膝蓋靭帯炎、疲労骨折、腰痛、肩関節(亜)脱臼、突き指、手関節痛などに急性または慢性の傷害が発生する。

ルール上ボディーコンタクトは禁止されているものの、時には激しい接触が起こるため、肘や膝の接触、転倒による急性外傷(骨折・打撲など)や裂傷もよく見受けられる。

女子では運動性貧血の発生頻度も高い。

個人種目は体調や競技力がそのまま結果として現れる野に対し、バスケットボールの場合、コートに立つ主力メンバーだけでなく、控え競技者も含めたチーム全体の状況が結果に反映される。そのため一部の競技者の体調や競技力の向上を図るだけで強いチームを作ることはできない。

バスケットボールではチームの統一性をもたせるために、日頃から練習会場や試合会場への移動、食事時間、そのたにおいても団体行動をとることが多い。選手の寮を用意して日常生活も含めた管理を行っているケースもあり、女子チームにこの傾向がある。練習だけでなく生活の一部の時間も共有する事は、仲間意識を持つ上では有効なこともあるがが、必要以上の管理は選手の自主性を阻害することになり指導者の注意が必要となる。。

コンディショニングのための現状把握

けがや病気はコンディションを崩す大きな要因となるので、現病歴や既往歴を確認するたもにメディカルチェックやフィットネスチェックを行う必要があり、また継続して行う事で選手の最新の状況を得て怪我の予防に役立てる。

整形外科的メディカルチェック

医療機関で医師が行うもので、問診、触診、徒手テスト、X線検査などがひつように応じて行われる。痛み、不安感、などの自覚症状の有無にかかわらず既往歴や現病歴を考慮した検査を行う必要がある。その他脊柱から下肢のアライメント、関節柔軟性、関節可動域、関節不安定性などの身体的特性をチェックする。このような検査を行う事によって、今後起こりうるアクシデントを予想して対処することができる。定期的に行いデータを蓄積することで怪我の発生を抑えることにつながる。

内科的メディカルチェック

バスケットボール選手は長身競技者が多く、マルファン症候群による突然死の危険を考慮した検査は必須である。身体各部位を観察することにより巨人症を疑う場合も同様である。血液検査は選手の栄養状態を知る上においても大切であるが、運動性貧血の確認のためにも欠かせない。筋力増強、栄養補給、疲労回復などを目的としたサプリメントの補給をしている選手も多く、メディカルチェックの際にはドーピングコントロールの観点からも適切な指導が必要である。

フィットネスチェック

身体組成、筋力、持久力などの身体特性や運動能力の測定とともにフォーム(ダイナミックアライメント)不良はオーバーユースとなり怪我の要因となるので目視やビデオ札駅などの動作解析を合わせて行うと有効である。フィットネスチェックの結果は競技者個々の特性や能力を知るとともに総合的にみるとチーム全体の傾向を知る事ができる。

コンディショニングの実施に必要な要素

指導者から一方的に指示を与えるのではなく、競技者自身に日頃からコンディショニングに対する意識を持たせるように指導する必要がある。

1)基本は日常から  睡眠、食事、休養、入浴、趣味・娯楽など気分転換、事故・疾病などに注意する。コンディショニング調整には土台をしっかり固めることが大切。

2)自分のコンディションを知る。 体格、ポジションによる運動量の差、年齢差、主力と控えの運動量の差など個々に条件が違う。自分の状態に応じたコンディショニングを行う必要がある。自分の疲労度、筋緊張の度合い体調不良など自分自身を知ることが大切。

3)けが明け後の対応  怪我からの復帰後、患部の再発防止、全身のコンディションアップと維持に必要なセルフコンディショニングを継続する。

日々の練習や試合に活かすコンディショニング

1)水分補給  ピリオド間の休息タイムを想定した水分補給に心がけ、脱水症状が起きないように自己管理する必要がある。ドリンクボトルの共有は感染予防の観点から避けるべきである。水・お茶・スポーツドリンクなど天候、運動の強度競技者の志向に合わせて調整する。

2)食事、捕食 食べることは競技力、コンディショニングに大きく左右する事なので指導・教育が必要。一日に必要な栄養素をバランス良く摂取する必要性と過剰に意識することによるストレスを考えなければいけない。手軽な補給食(おにぎり、パンフレット、バナナ、柑橘系100%の果汁ジュースなどを用意する。)学生は通常の練習においても空腹状態でプレーすることは避けるべき。

3)コンディショニングトレーニング  良いコンディションの獲得と維持のために行うトレーニング。その時々に合わせて練習や試合前に行う。ウォーミングアップの時間にチューブや軽い負荷で行う。

4)ストレッチ  ストレッチを行う際は、目的意識をしっかり持って、伸ばしたい筋を意識して行わなければならない。パートナーストレッチを行う際も同様である。

5)アイシング  痛み・炎症の抑制、熱中症予防、疲労回復など活用範囲が多く氷の確保は欠かせない。


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